ライオンギャッベ特集2023 見ているだけで楽しいユニークな表情に注目
ライオンラグとの出会い
ギャッベ入荷4万枚突破を記念して「ライオンギャッベ」について、当店ならではの視点で振り返ります。2006年、それまでトルコキリムを専門だった私たちは、まだ取り扱いを始めたばかりのギャッベを追いかけて、テヘランに向かいました。
絨毯見本市で人だかり これは何?
ライオンラグを初めて見たのは、テヘランの見本市でのこと。たぶんそれまでも、目にしていたのかもしれないけれど、まったく意識してなかったので、よく覚えていないのです。
たしか、赤いフィールドに比較的リアルに描かれた白いライオンが一匹という、よく見かけるタイプのライオンでした。が、驚いたのはそれを買い付けているバイヤーさんたち!
あとで見せてもらおう、と遠目に見ていたら、あっという間にほとんどのライオンが売れて行ってしまいました。
なるほど~。ライオンラグにはコレクターがいるのかぁ。
振り返ってみると、この時ライオンラグは、気になる存在になっていたのだと思います。
「ライオンラグ」書籍登場
2007年に「ライオンラグ 知られざるイラン遊牧民の手織絨毯」という書籍が出版されました。神戸で絨毯の販売をされている玉木さんのコレクションを集めた図録で、市場で見たことのあるほとんどのライオンラグの例が載っているのではというほどの、充実した書籍です。
実際には書籍が出た時点では、こんなにたくさんのライオンのパターンについて見ていたわけではなく、のちに買い付けに行ってライオンに出会うごとに、この本に載っていたラグとそっくりだ!と思うのです。だから、順番でいうと、この本に載っているいろいろなライオンに似たパターンのラグを、一通り市場で目にすることができましたということです。10年くらいかかりました。
この本は今でも、当店にライオンラグが来るたびに開いてみる、バイブルのような存在です。各コレクションについて書かれたコメントから、筆者のラグに対する愛着が見え隠れするところも大好きな一冊です。
ライオンラグとは?
ライオンモチーフが織り込まれていること
ライオンラグを定義するなら、「ライオンがモチーフとして織り込まれている部族系絨毯」です。そして、今ここで話題にしているのは、主にイラン南西部の遊牧民が織ったラグのこと。
そう、ライオンが描かれていればライオンラグなのです!
いつ頃から織られていたのか、ライオンにどんな意味があるのかなどなど、知りたい気持ちは尽きないところですが、私たちが仕入先から聞いた話は、諸説ありどれも事実と推測が入り混じっているようで、決め手となる情報にはたどり着けません。キリムのモチーフも同じで、たくさんの織り手によって伝承されてきた文化ですから、きっちりとした定義はできないというのが本当のところなのでしょう。
“諸説”については、各国語で様々な解説がされていますので、ご興味を持たれた方はぜひ調べてみてください。
不思議な面白さにハマってしまう~
ライオンがモチーフになっていればライオンラグ。といっても、中にはコレはライオンなの??と思ってしまう表現もあって、時にはあまりの人間らしさにクスッと笑ってしまうことも。
勇猛でカッコイイライオンがお好みの方もいらっしゃるとは思いますが、ここではライオンの表情に注目して集めてみました。もしかして誰かに似てるかも♪
人面ライオン
仙人のような悟りの目
やさしそうなライオン
体格のいいライオン
右手が人間!
恐竜みたいなライオン
不思議なタテガミ
スフィンクス?
デフォルメされたライオン
振り返るライオン?
猿顔のライオン?
ナゾの生物?
ライオンだけじゃない、楽しい動物柄
遊牧民のラグで描かれるのは、ライオンだけでなく、彼らの生活に密着した、あるいは空想の、さまざまな動物が登場します。
鹿の親子
鳥
馬
ヤギ
ツチノコ???
ヒョウ
大自然の中で、生活の中で、毎日ふれあう身近な動物はとてもリアルに描かれ、見たことはないけれど聞き伝えられてきた動物は想像を働かせて描いてみた。その結果、ナゾの生物がいろいろと出てくるわけですけれど、たぶん絨毯を織った本人は「失敗しちゃったな」とか思っていないはず。
自分が一生懸命織った絨毯を誇らしく「見て見て」とばかりにお披露目したでしょうし、その後も長く大切に使ってきたのでしょう。
数十年後に、こんなにたくさんの人の話題になって評価されることを知ったら、上手に織ろうという欲が出てしまって、こんなにおおらかで楽しいラグにはならなかったかもしれません。
難題!ヒョウなのか雌ライオンなのか??
ライオンラグの中には、タテガミを持たない豹(ヒョウ)が出てきます。私たちの感覚で、一見してヒョウだと思うのは体の模様(いわゆるヒョウ柄)によるところが大きいのだと思います。
みなさんにもヒョウに見えますか??
引き締まった顎や細い脚から、連想するのはやはりヒョウだろうというのが、大半の日本人の意見です。
一方、現地のディーラーさんは、雌ライオンだ!という人が多いんです。ライオンを部族の象徴とする伝統的な考えの中で、ライオンにはタテガミのある雄ライオンだけではなく、雌ライオンもいるのだから、そちらもラグに織り込もうという流れは自然ですよね。
この難題、明らかな答えはないんです。
けれど、話の流れから推測すると、雌ライオンをモチーフにしてラグを織ろうとしたときに、参考にした画像(写真?)がヒョウだったのでは?と思うのです。そして、そのヒョウをモデルにしたライオンが素敵だったので、どんどんそのデザインが広まったのではないでしょうか。
当店では、ヒョウのラグも、ライオンラグとして一緒にお取り扱いをしています。ライオンファンのみなさま、ぜひヒョウもコレクションに加えてあげてくださいね。
さてさて、2023年、新しいライオンラグも入荷してきていますよ。
新着のライオンギャッベは次のページで↓
古い投稿ですがこちらも
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