キリムとは

キリムってどんなもの?その特徴や魅力をご紹介。

キリムの年代について

『日本人は新しい方が好き?』
絨毯屋さんが、ぼやくんです。「日本人はね、ちょっと靴でカーペットの上に乗っただけで、もうそのカーペットは買ってくれないんだ。なんでそんなに神経質なのかな。僕たちはこれが普通なんだけど。」
「日本ではね、家の中で靴は脱ぐものだし、カーペットは直接座ったり寝ころんだりするところ。あなただって自分のベッドの上を靴で歩かれたらいやでしょう?」
と私は答えるけど、彼は日本人のお客さんの相手はたいへんだっていう顔。だから一般的には、日本人にはオールドではなく新しいじゅうたんやキリムを紹介するんですって。(2001.4)

アンティークキリム、オールドキリム、ニューキリムの年代による違い

キリムに限らずじゅうたん類は、製作年代ごとに大別して3つに分けられて呼ばれています。(これは基本的にトルコ文化局の考え方のようです。)

キリムの年代区分

ニューキリム New Kilim

ニューキリム カイセリ
ニューキリムは、まさに新品。でも、まだ誰も使っていないという意味よりも、最近織られた新しいものという意味が強い。毎年どんどん織られていて、店先で売られているのは、もともと販売用・輸出用に作られたもの。だいたい10~15年前に織られたものが、このグループに入ります。ガラタバザールでは新品未使用のものだけを、NEWと表記しています。

ニューキリムの魅力は、手ごろな価格で、使いやすいサイズが手に入ること。そして、オールドキリムではなかなか見つけにくいデザインも、リプロダクションとして復刻版が手に入るのも、ニューキリムならではです。

染色については、「草木染」と表記されているものは、ほとんどが特別のプロジェクトとして管理された環境で染められたもので、信頼性が高いです。

オールドキリム Old Kilim

オールドキリム
幅広く、さまざまな状態のものが出てくるオールドキリム。織られてからまだ100年未満のもの。基本的には、商業用ではなくて家庭用に織られて、実際に使われていたものを、ディーラーが買い取ったケースがほとんど。品質はそれこそピンキリですが、色・デザイン・目の細かさなど、現在生産されているキリムではもう見られないさまざまな技術が織り込まれているのです。

実際に、マーケットでオールドキリムという区分ができたのは1980年代頃のようで、そのときの100年前はまだ19世紀。天然染料だけが使われていた時代と、ヨーロッパから合成染料が入ってきてからの時代を区別するためにオールドキリムというグループを作ったのではないか、とも考えられます。21世紀も数十年が過ぎ、“100年未満”がオールドキリムという定義も、少しずつ曖昧になりつつあるようです。

アンティークキリム Antique Kilim

アンティークキリム
100年以上経ったものにたいしては、アンティークという表現が使われます。こうなると、国家の美術財産として、国外への持ち出しが禁止という建前があるのですが、それでも世界中のコレクターが、ものすごい値段で売買しています。トルコの家庭で80~90年前の絨毯やキリムをまだ持っている家は、もうちょっと待ってアンティークになってから売ろうと、大事に大事に隠しているとか・・・。
年代の鑑定はとても難しい作業ですが、専門家は、デザインと産地の関係、使われている色、モスク(寺院)に寄贈されたときの目録、キリム本体に織り込まれた年号(一般にはイスラム暦)と文字(ラテン文字になる以前のトルコ文字)などを手がかりに、織られた年代を判定しているのです。

関連記事一覧

  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。