KILIMS Museum of Turkish and Islamic Arts
KILIMS Museum of Turkish and Islamic Arts
Nazan Ölçer /1989年
トルコの女性研究者による「トルコ・イスラム美術博物館」所蔵のキリムの案内書。
1989年出版で、キリムのカタログ本としては最も古いものの一冊です。
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我々が、90年代から現代までトルコの絨毯屋さんで聞かされているキリムの産地の知識は、この本が出どころとと言ってもよいかもしれません。
キリムが織られた年代については表記がないのが残念ですが、博物館所蔵のキリムばかりですから、18-19世紀のキリムが大半であろうと思います。
解説によると、キリムが織られた年代の特定は困難であるため、カタログ上では年代を表記していない旨が説明されています。
↑↑ このキリム、今でもリプロダクションキリムで人気のデザインです。
コメントには、コーカサス地方から移り住んできた人々がエルズルム地方で織ったキリム。8つの花びらを持つロゼットは、シワス地方やハタイ地方のレイハンル族がよく用いるモチーフ、と書かれています。
さすがに、博物館の解説は詳しい!
私たちはキリムの産地(エリア)を表すのに、地図に基づいて表記することがほとんどなのですが、もともとはアナトリア全域にはいくつかの大きな部族グループが住んでいて、それぞれ異なる文化的な特徴を持っていたんですね。
産地の表記がアイドゥンとなっていても、アイドゥン県で織られたということではなく、アイドゥン族によって織られたという意味合いで、実際の地理的な産地はそのアイドゥン族が住んでいたエリアとなるわけです。
このキリムのコメントは、
“アンタルヤ-ウスパルタ地方に定住しているカラコユンル族が織ったキリム。六角形と四角の同様の構成は、コンヤ-ニーデ地方のホタムシュ族やベクディック族に見られるものと似ている。ボーダーに見られるクロスモチーフは、コンヤ地方山間部のオブルック村で織られたキリムに典型的なモチーフ”
と説明されています。
この本には80ほどのキリムが載っていますので、当店に入ってきたキリムと合わせて、またご紹介していきたいと思います。
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